将来の薄毛が気になったとき、ふと家族の髪を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。特に母方の祖父が薄いと、「自分も同じように薄くなるのかな」と不安になることがあります。
薄毛には遺伝が関係します。ただし、母方の祖父がはげているからといって、自分も同じように薄くなるとは限りません。
遺伝は、将来を決めるものではなく、薄毛になりやすい体質に関わる要素のひとつです。
この記事では、はげと隔世遺伝の関係、母方から来ると言われる理由、父方の影響、遺伝があってもできる対策について紹介します。
母方の祖父がはげていると自分も薄毛になる?
「母方の祖父がはげていると、自分も将来はげる」と聞いたことがある人もいるでしょう。生え際やつむじが少し気になっただけでも、家族の髪と重ねて考えてしまうかもしれません。
ただ、母方の祖父が薄いからといって、自分も同じように薄くなるとは限りません。薄毛には遺伝が関係しますが、それだけで将来の髪が決まるわけではないためです。
鏡を見るたびに家族の髪が気になる
生え際が少し上がった気がする、つむじが前より目立つ、写真で頭頂部が薄く見えた。そんなときに母方の祖父の髪を思い出すと、不安が一気に強くなることがあります。
AGAは、遺伝や男性ホルモンが関わる脱毛症として知られています。とはいえ、どのくらい影響を受けるか、いつ頃から変化が出るかは人によって違います。
母方の祖父が薄いことは、ひとつの参考にはなります。けれど、同じ年齢で同じように進むとは言い切れません。家族の髪は参考にしつつ、自分の生え際やつむじが以前と比べてどう変わっているかも見ておきましょう。
「隔世遺伝かも」と感じやすい理由
隔世遺伝とは、親ではなく祖父母の特徴が自分に出たように感じるときに使われる言葉です。薄毛でも、父親は髪が多いのに祖父が薄いと、「世代を飛ばして自分に来たのでは」と不安になる人もいるでしょう。
ただ、薄毛に関わる遺伝はひとつだけではありません。複数の遺伝要素に加えて、年齢、男性ホルモン、頭皮環境、生活習慣なども影響します。
祖父と髪の印象が似ていると、隔世遺伝を疑いたくなるかもしれません。とはいえ、家族歴はあくまで判断材料のひとつです。自分の髪の太さや、生え際・つむじの変化もあわせて見ておくとよいでしょう。
はげは隔世遺伝する?薄毛の遺伝の仕組み
「はげは母方から来る」と言われる背景には、AR遺伝子が関係しています。AR遺伝子とは、男性ホルモンの影響を受ける仕組みに関わる遺伝子です。
ここからは、薄毛と遺伝の関係をもう少し詳しく説明します。
AGAは「遺伝で決まる」ではなく「なりやすさが受け継がれる」
AGAは、男性ホルモンの影響を受けて髪が細く短くなり、少しずつ薄毛が目立っていく脱毛症です。
ここで大事なのは、男性ホルモンが多いから必ず薄毛になる、という単純な話ではない点です。毛根が男性ホルモンの影響を受けやすい体質かどうかも関わります。
つまり、遺伝で受け継がれるのは「必ずはげる運命」ではなく、「薄毛になりやすい体質の一部」と考えるとよいでしょう。
体質として影響を受けやすい人もいれば、家族に薄毛の人がいても目立った変化が出にくい人もいます。
AR遺伝子が母方説につながる理由
薄毛の遺伝でよく出てくるのが、AR遺伝子です。AR遺伝子は、男性ホルモンに反応する受け皿のようなものに関わっています。
このAR遺伝子はX染色体上にあります。男性は、X染色体を母親から受け取ります。そのため、「薄毛は母方から来る」と言われやすいのです。
母方の祖父が薄い場合、母親を通じて関係する遺伝要素を受け継いでいる可能性はあります。だからといって、母方だけで薄毛が決まるわけではありません。
AGAには、AR遺伝子以外の遺伝要素も関わると考えられています。父方の家系や、自分自身の体質、年齢による変化もあわせて見る必要があります。
隔世遺伝のように見えるのは、組み合わせが人によって違うため
髪に関わる遺伝要素は、母方からも父方からも受け継ぎます。その組み合わせは、兄弟でも同じではありません。
父親は薄くないのに自分は気になる、兄は髪が多いのに弟は薄くなってきた、という違いが出ることもあります。反対に、祖父が薄くても自分には大きな変化が出ない人もいます。
そのため、薄毛は「母方の祖父がはげているかどうか」だけでは判断できません。家族の傾向を参考にしながら、生え際やつむじ、髪の太さに以前と違う変化がないかも見ておきましょう。
薄毛は母方・父方どちらの影響が強い?
薄毛について調べると、「母方の遺伝が強い」という情報を見かけることがあります。母方が注目されやすい理由はありますが、父方の家系も薄毛と関係する要素のひとつです。
母方が注目されるのはX染色体が関係しているため
男性は、母親からX染色体、父親からY染色体を受け取ります。薄毛との関連が指摘されるAR遺伝子はX染色体上にあるため、母方の家系が話題にされることがあります。
そのため、母方の祖父が薄いと「自分もはげるのでは」と不安になる人もいるでしょう。
ただ、AGAには複数の遺伝要素が関わると考えられています。X染色体だけでなく、父方の家系に薄毛の人が多いかどうかも、家族歴を見るうえで参考になります。
母方の祖父が薄いことは、あくまで目安のひとつです。父方の家系や、自分の生え際・つむじの変化もあわせて見ておきましょう。
遺伝の影響をもう少し知りたいときは
「母方と父方、どちらの影響が強いのか」「遺伝する確率はどのくらいなのか」と気になる人もいるでしょう。
薄毛の遺伝は、母方だけでなく父方の家系も関係します。家族全体の傾向と、自分の生え際やつむじの変化をあわせて見ておきましょう。

遺伝があっても薄毛対策はできる?
薄毛の遺伝が気になると、「遺伝なら何をしても意味がないのでは」と感じる人もいるでしょう。
けれど、遺伝が関係していても、髪の変化を見ながらできる対策はあります。生え際やつむじの変化に早く気づければ、生活習慣の見直しや治療の相談など、次の行動を選びやすくなります。
まずは髪の変化を確認する
AGAでは、髪が少しずつ細く短くなり、密度が下がって見えることがあります。急にすべての髪が抜けるというより、生え際や頭頂部のボリュームがじわじわ変わる形で気づく人が多いです。
気になるときは、同じ場所、同じ照明、同じ角度で写真を残しておくと変化を比べやすくなります。毎日鏡を見ていると小さな違いに振り回されがちですが、月に1回ほど記録すると冷静に見られます。
確認したいポイントは、生え際の後退、つむじの広がり、髪の太さ、セットしたときのボリューム感です。抜け毛の本数だけでなく、細く短い毛が増えていないかも見ておくとよいでしょう。
生活面の見直しは髪の土台づくりになる
睡眠不足、食事の偏り、過度な飲酒、喫煙、強いストレスなどは、髪や頭皮の状態に影響することがあります。
生活を整えたからといって、AGAの進行が必ず止まるとは言えません。ただ、髪が育つ土台を整える意味では、見直しておきたい部分です。
たとえば、たんぱく質を意識した食事をとる、睡眠時間を確保する、頭皮を強くこすりすぎない、整髪料をその日のうちに落とす。こうした習慣は、遺伝の有無に関係なく取り入れやすい対策です。
治療の選択肢を知っておく
遺伝が関わる薄毛であっても、AGA治療という選択肢があります。治療を始めるかどうかを今すぐ決める必要はありませんが、どのような方法があるのかを知っておくと、必要なときに動きやすくなります。
薄毛治療では、進行を抑える薬や発毛を促す治療が検討されることがあります。どの治療が合うかは、薄毛の状態や体質によって変わるため、自己判断だけで進めない方が安心です。
「遺伝だから仕方ない」とひとりで抱え込む前に、相談できる場所があると知っておくだけでも気持ちは軽くなります。

医師に相談した方がよい目安
薄毛の原因はAGAだけとは限りません。急にごっそり抜けた、円形に抜けている、頭皮に赤み・痛み・強いかゆみがある。こうした変化があるときは、早めに皮膚科などで相談しましょう。
また、持病がある方や薬を飲んでいる方は、治療薬との相性にも注意が必要です。市販品や治療薬を自己判断で使う前に、専門家へ確認しておくと安心です。
まとめ
母方の祖父がはげていると、自分の将来も不安になるかもしれません。けれど、薄毛は母方だけで決まるものではありません。
AR遺伝子がX染色体上にあるため、母方の影響が話題になりやすいのは事実です。ただし、AGAには父方を含む複数の遺伝要素や、男性ホルモン、年齢、頭皮環境なども関係します。
まずは家族歴だけで決めつけず、自分の生え際・つむじ・髪の太さに変化がないかを見ておきましょう。遺伝の仕組みを知ったうえで、生活習慣の見直しや治療の相談も選択肢に入れておくと、必要なときに動きやすくなります。
症状が急に進んだときや、頭皮に赤み・痛み・強いかゆみがあるときは、自己判断せず皮膚科などで相談しましょう。
参考情報
日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版
日本皮膚科学会:男性型脱毛症診療ガイドライン 2010年版
MedlinePlus Genetics:男性型脱毛症(Androgenetic alopecia)
MedlinePlus Genetics:AR遺伝子(AR gene)
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上の診断・助言を行うものではありません。症状に不安がある場合は、医師などの専門家にご相談ください。

